2020年11月26日 ババアパン 先日、真夜中の作業中にあまりにもお腹がすいてパンを焼いて食べた。八枚切りのパンを二枚トースターで焼き、一枚はバターを、もう一枚にはイチゴのジャムを塗って食べた。それでもまだ足りなかったのでもう一枚焼いた。前に焼いた二枚と同じ時間焼いたところ、一枚だけだ ...
2020年11月15日 人魚の泡 「ねえ、何を集めているの?」と、私は尋ねた。 少年はこちらを振り向くと、口元に少しだけ笑みを浮かべながら答えた。 「人魚です」 「人魚?その汚い泡が?」 少年は道にだらしなく広がる茶色く濁った泡を両手でかき集めては、壊れやすい小さな生き物を捕まえる時の ...
2020年11月14日 おしりのしおり 「またここからはじめたいの」 彼女はそう言うと枕もとの文庫本からしおりを抜き取り、僕のおしりの割れ目に挟んだ。そして読みかけの本を閉じるみたいに僕のおしりを手のひらでぴしゃりと叩いた。 僕はあの日からずっと待ち続けている。 本棚で眠る読みかけの本が、 ...
2020年11月02日 死んだ高校の同級生 たまに、というか結構頻繁に死んだ高校の同級生について思い出す。いつだったか忘れたが何年か前にどっかのサイクリングロードで自分の体に火をつけて死んだらしい。むちゃくちゃな死に方だ。彼とは在学中にもほぼ接点がなくほとんど話したことがなかったので、高校を卒業し ...