「またここからはじめたいの」
 彼女はそう言うと枕もとの文庫本からしおりを抜き取り、僕のおしりの割れ目に挟んだ。そして読みかけの本を閉じるみたいに僕のおしりを手のひらでぴしゃりと叩いた。
 
 僕はあの日からずっと待ち続けている。
 本棚で眠る読みかけの本が、主によって再びページをめくられる日の夢を繰り返し見るように。
osiri